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せいぜいたのしくやろうぜ

書いてる人:二木

30代からはじめる映画鑑賞。感想記事は基本的にネタバレしているのでご了承ください。

2016年に劇場で観た映画まとめ

イット・フォローズ(1/20)★★★☆☆
ホラーだけど映像がきれいでよかった。車椅子の固定カメラとか面白かったなー。敵のあいつが結構まぬけな姿で来るときもあって好き。怖いのは大丈夫なんだけど、突然窓が割れるみたいなドッキリがダメなせいでホラーが苦手なので、観ている間はずっと後悔してました…。

ブリッジ・オブ・スパイ(2/3)★★★★★
会話のスピード感はアクションよりテンション上がった。スパイと弁護士が信頼しあってゆく過程がなんとも言えない。スパイのじーちゃんのヨボヨボ具合が非常によかったです。

オデッセイ(2/13)★★★☆☆
知力・体力・精神力の終結みたいな話だった。展開にひっかかりがない分あっさり観終わってしまったという印象。

KING OF PRISM by PrettyRhythm(2/29)★★★★★
キンプリにハマってたのって春ごろなんだー、懐かしい…。祭りになってたので観にいってそれなりに楽しんで帰ってきたのだが、そのあとプリティーリズム・レインボーライブ全51話を観てからそのあまりの完成度にめちゃくちゃハマってしまい、映画も3回くらいは見た。とにかくプリティーリズム・レインボーライブは51のお話全てに無駄がないしキャラも凄くいいし最高です。

シェルコレクター(3/12)★★☆☆☆
芸術性が高い、としか褒める言葉が見つからなくて私はちょっとよくわかんなかったですね…。なんか芸術とセックスを結びつけるのって当たり前すぎて非常に苦手。貝の毒にやられた人が見てる夢のざらつき具合は見どころあり。

ヘイトフルエイト(3/26)評価不可
面白かったはずなんだけど、映画館の席がハズレで記憶があんまりない。

ズートピア(4/26)★★★★☆
真面目に生きているつもりが無意識に根付いていた差別心と戦う話だった。最近はPC配慮への主張のことを「ポリコレ帽で殴る」だなんて揶揄する声もあるけど、受け入れることのできない他者を理解することは可能だと思う。

劇場版ガールズ&パンツァー(5/22)★★★★☆
美少女アニメなのに大体ドンパチやってるだけで最高だった。ラストバトルとか声優喋ってない。キャタピラと砲撃の音しかしない。みほちゃんの超冷静な指揮にはうっとりします。

ヒアノメ~ル(6/8)★★★★☆
原作の一番大事な部分である「殺人衝動を持って生まれてしまった自分は何故存在するのか」という葛藤部分が改変されたり、監督の趣味でユカちゃんが美人系からロリ系に変更されたり、古谷実っぽさが残っていたのは登場人物のファッションくらいで非常に残念ではあったのだが、構成の面白さと森田剛の怪演っぷりだけでも観る価値充分。

デッドプール(6/21)★★★★★
グロいし下世話で楽しかった。登場キャラクターがみんなイキイキしてたねー。もう一回観るときは絶対吹き替え版にしよう。

TOO YOUNG TOO DIE(6/26)★☆☆☆☆
相変わらずクド監は学芸会だなー。音楽目当てだったんだけどそれも使い方が残念だった。

機動戦士ガンダム サンダーボルト(7/8)★★★★☆
厳密には映画ではないんだろうけど、劇場で観てよかった作品でした。菊地成孔の手がけるジャズを流しながらの戦闘シーンはシビれた。好きなガンダムがGなのでビーム怖すぎてトラウマになりました。

シン・ゴジラ(8/4)★★★★★
ゴジラに思いいれもないし好みじゃないからなーと思ってたけど、評判がいいのでネタバレ踏む前に観にいったら、思ってたのと全然違っててメチャクチャ面白かった。会議もよかったし何よりゴジラが当時の職場付近を焼き払ってくれたのが超スカっとした。ずっとゴジラのことばっかり応援していたけど、パターソンさんのコメディリリーフぶりもよかったよ…。

ゴースト・バスターズ(9/2)★★★★☆
字幕にちょっと不満があったけどめっちゃ面白かった!エリン推しです。

 HiGH&LOW THE MOVIE(9/2)★★★☆☆
映画としては40点くらいだし、映画のメインである琥珀さん関連の話がクソつまんないんだけど、キャスティングと乱闘シーンのセンスがあまりに良すぎてうっかりハマってしまった。

聾の形(10/5)★★★☆☆
元々原作が大嫌いだけど、音楽が牛尾さんだったから…。アニメとしてはどのシーンの描写も繊細で上手かったと思う。しかし石田の声はもっとヤンキーっぽい人にびくびく喋らせてほしかった。

怒り(10/5)★★★★☆
今までぼんやりとしか考えていなかった沖縄問題について、骨の髄まで恐怖を叩き込まれた。レイプ怖い…レイプ絶対許さない…。あまりに沖縄篇が恐ろしくて、つまぶき×あやのに萌える余裕がなかったからそこだけ切り取ってもう一回見せてほしい。とにかく日本で最高の演技力を誇る俳優を集めてたけど、とくに最後ちょっとだけ喋る高畑充希がすごかった。

 HiGH&LOW RED RAIN (10/19)★★★☆☆
ザ・ムービーと同じく40点なんですけど、戦いに巻き込まれて絶対に死ぬと思ったアロワナが最後まで大事に扱われててそこだけでも最高だった。あと、このプロジェクトはドラマ・映画ともにアクションシーンと同じくらい評価したいのは、ちゃんと面影のある子役で過去回想をするところだと思う。

この世界の片隅に(11/23)★★★★★
生まれる時代が違っていたら、きっと芸術家になっていたであろう女の子の、芸術家としての死を描いた物語だと思った。彼女の目から見る戦争は今までのど戦争映画とも違っていた。この一年で一番恋愛シーンにどきどきしたのはコレかも。

 

いつもよりは断然映画館に行った年になったけど、映画を鑑賞しに行ったというよりSNSの祭りに参加してただけという感じもする。相変わらず邦画とアニメばっかりですが、今年はとくに邦画は当たり年だったのではと思います。
風邪が治れば年内にローグ・ワンを見て映画収めにしたいなあ…。

 

 

日記

twitterから開いたリンクがたまたまはてなブログで、ふと見たヘッダに自分のアカウント名出てて思い出した。
そうだ、私もアカウント持ってるんだった。

なんだか原稿が進まなくなったときに描いてたブログだが、今年は春先からちょっと前まで精力的にイベント参加やらアンソロ寄稿やらをしていたのでブログどころではなかった。あまりに原稿が続いたので体力的にも精神的にもいっぺん完全に燃え尽きつつも、久々にいろいろ本を読んだり映画を見たりとのんびりできたし、さてそろそろゆっくると春の原稿でもやるか…と重い腰を上げたらやっぱりまた文章が書けなくなっていた。創作しんどい。

最近は難しい手術に何度か大成功して戻ってくるガンの父が、そのたびに元々下衆だった人間性に更に磨きをかけて戻ってくるため、本当に手がつけられない暴れっぷりです。同居してる家族たちに悪いので、私も実家に帰ったほうがいい? 仕事やめよっか? と相談したところ、「みどりちゃんが帰ってきたら三日以内に殺人事件が起こるから絶対にやめて」と丁重にお断りされました。私の無職に対する強いあこがれも完全にバレているし。

そんな思慮深い家族たちも我慢の限界をどうやってやり過ごそうか毎日必死のようで、何かグチが発生するたび実家からうちの近所のファミレスまでやってきて、なぜか毎回人数分+1の食事を注文しながら「どうやったら事故に見せかけてあいつを殺せるか」みたいな話ばかりされます。最初は不謹慎だから思ってたってそんなこと言わなかったけど、だんだん「実際は我慢してるわけだし言うのはタダ」とばかりに遠慮がなくなっています。

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はじめてのスタウォーズ② 現代を象徴するエピソード7

 テレビ放送でエピソード4のみ勉強して劇場で鑑賞。その記憶が新しいうちだったのもあるが、「エピソード7/フォースの覚醒」は4と全く同じストーリー展開だというのが一番の印象だった。これはおそらく「ルーカスの手を離れた新シリーズ一発目はSWをSWのまま現代っぽくしました! わかりやすくするためにも、旧シリーズの1作目とおんなじ話にするね!」という事なのだと思う。古くからのファンへの配慮であると同時に、ディズニー側の決意表明でもある。

 例えばヒーローが世代交代をして白人男性から女性&黒人になったことや、悪役がいかにも脆弱で繊細そうなナードボーイへ変化したところが「現代らしさ」の象徴だろう。しかしSWのアイデンティティともいえる話の古臭さは神経質なまでにそのままだ。社会的価値観の変化はあくまで物語の外側にいる観客に向けて表明されたものだ。作品の核には一切手を加えないまま、新しいイデオロギーを提示した手腕は見事だと思う。

 なんとなく吹き替えで観なきゃいけないような気分だったので、吹き替え版3Dで鑑賞。劇場公開しているうちに観に行って正解でした。オープニングの文字であらすじを説明する例のアレすら、3Dだとなんだかアリな気がしてくるから不思議だ。
 3D映画については元々あまり必要性を感じていなかったが、「ゼロ・グラビティ」以降の宇宙ものはすすんで3Dで観るようにしている。本作も立体視との相性はばっちりで、宇宙の地図なんかはとくに美しく描写されてたと思います。ただ、3D映画って奥行きが映えるように撮影するためか妙に顔のアップが多くなるなーと思う。
 BB-8はあざといくらいに可愛かったけど、ピン芸人だから萌えとしてはいまいちだったか。今後はR2-D2C-3POも復活するようなので、BB-8が金ピカからどんなツッコミをくらうのか楽しみです。

 たぶんエピソード5に続く(まだ観てない)。
 

『アメリカン・スナイパー』(2014/アメリカ/クリント・イーストウッド)

アメリカン・スナイパー [Blu-ray]

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 911から始まったイラク戦争。私がニュースで見ていたそれらの出来事が、重大な事件として既に歴史にしっかりと刻まれているんだと、この作品を見てはじめて実感したような気がする。あまりにもちゃんとエンターテインメントとして面白い作品だったからである。アメリカ同時多発テロが起こってから数年内の映像作品は、どこか事件との距離感が生々しすぎて、ゆえに戦争という事態を外側から捕らえようとするものが多かったように思う。空爆で人が死んだ、派遣されたアメリカ兵が死んだ、そんなニュースに胸を痛めているけれど、うまく想像できないせいで結局は他人事になってしまった。
 本作ではそのイラク戦争を、シビれるくらいのカッコいい戦闘シーンを中心に描いている。80代のイーストウッド監督の手腕には毎度のことながらひれ伏すしかない。あまりの緊迫感に何度も息を止めてしまった。

 主人公がスコープから覗く“敵国”の人間が、次々に斃れて行く。子供や女もいる。それでも彼は、自分が殺すことで何倍もの味方を生かしているのだと信じている。戦場に追い込まれたせいでそう思い込まなければやっていけなかったのか? それとも最初から敵をブッ殺すことこそが彼の望みだったのか? 彼が何度も戦場に戻る理由はわかるようでわからない。
 ただ一つ、彼の妻が感じるた物理的な距離感だけではない孤独に関してだけはわかった。人間を殺すことを知ってしまった魂は、もう元にもどらないかもしれない。彼女は自分の夫がある意味人間ではなくなってしまったことが怖かったのだと思う。

『横道世之介』(2013/日本/沖田修一)

 主人公・横道世之介の一挙一動が面白すぎて、終始ゲラゲラ笑いながら鑑賞。一体、原作の小説ではどんな描写をされていて、そして監督・俳優はそれをどのように解釈し、この映画における「横道世之介」の強烈な個性を作り出したのだろうか。はっきりしなくてモヤモヤするなぁと多少のフラストレーションを抱えた矢先に突然何の迷いもなく何かを断言したり、世之介は次の一手で何をするのか全く読めない。でも、ただすっとんきょうなだけではなく、彼は基本的に気のいい奴で、みんなに優しい。

 その名の通り、横道に逸れるようにしてメインの人物も時間軸もすいすいと入れ替わっていく構成だった。普通だったらクライマックスで明かされるような衝撃の事実も、なぜか不意に中盤で明かされてしまう。それでも世之介が相変わらず面白いから、私たちは神妙な気分になりながらも引き続き彼のちょっとした振る舞いに笑わされてしまう。

 作中に出てくる人物の中でも、ふたりめの友人として登場した加藤との関係が素晴らしかった。加藤が実はゲイだと打ち明けるシーン、世之介はびっくりはするけど加藤のセクシャリティに関してはかなりあっさりしたリアクションをとり、そのせいで逆に加藤がびっくりする。夏の夜、散歩に出かけると言ってハッテン場に向かおうとする加藤のあとを、スイカを齧りながら着いてきちゃって、それでも普段どおりのテンションで、膝で割ったスイカを加藤に分けて一緒に食べる。後に大人になった加藤が、恋人に対して「あいつに会っただけで人生得した気分」と語ったが、確かにそれは加藤の人生の中でもとびきり大切な思い出になったのだろう。彼のその先の人生を、死ぬまでずっと照らし続ける細い光のような。

 物語の核となった世間知らずのお嬢様・祥子ちゃんとののんびりした恋もよかった。世之介と祥子ちゃんを通した世界はどこもかしこもみずみずしく、いつも小さな驚きと感動に溢れていた。世之介の地元でいい雰囲気になった瞬間に現れた逃げ惑う不法入国者たちのシーン、そのときはあまりにも突然だったのでめちゃくちゃ笑ってしまったのだけれど、祥子ちゃんにとっては自分の将来に影響を与える程の出来事だったらしい。ちょっとびっくりした。

 私もよく知らない80年代の風景は、ひたすら野暮ったくてダサくて恥ずかしい程だった。しかし段々とそれが、自分の記憶に最初からあった、懐かしくも愛おしい景色に見えてくるのがなんとも不思議な映画だった。