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せいぜいたのしくやろうぜ

書いてる人:二木

30代からはじめる映画鑑賞。感想記事は基本的にネタバレしているのでご了承ください。

『セッション』(2015/アメリカ/デミアン・チャゼル)

セッション(字幕版)

セッション(字幕版)

 

 

 東野圭吾の『殺人の門』を読んだ時と同じイライラを持ちながら鑑賞したが、面白かった。何で、何度も何度も裏切られた相手をまた信じてしまうのか。この関係性に嫌悪感以外のものを見出せるようになったのは、ここ数年突然読めるようになったBL(というかやおい)のお陰だろう。別に恋愛だの性欲に置き換えるつもりは一切ないが、憎しみによって結びついているのもまた人間関係のひとつのあり方だし、その関係からでなければ産まれないものもあるのだ。

 主人公はどんなに酷い目に遭わされても、それゆえどんなに自分がぼろぼろになっても、フレッチャー教授に認められたいという気持ちを捨てることができなかった。間抜けだと思う。でも、この人にとっては既に人生はドラムしかない。音楽しかない。それはイコール、フレッチャーだったということだろう。

 劇中の演奏で、フレッチャーが激しくダメ出しをするものと、うまく演奏できているものが素人の耳でもなんとなくわかるのが気持ちよかった。最後の演奏は圧巻。しかしあの演奏の後、この師弟はいよいよ素手で殺しあうのでは……それは想像するだけでも腹の底が凍りつくような恐ろしい未来である。

 

2015/11/28 早稲田松竹