せいぜいたのしくやろうぜ

書いてる人:二木

30代からはじめる映画鑑賞。感想記事は基本的にネタバレしているのでご了承ください。

『聖剣伝説 LEGEND OF MANA Arrangement Album -Promise-』下村陽子

 ゲーム音楽のアレンジCDは色々あるが、中でもゲームのタイトル縛りのアルバムはいやにハズレが多いように思う。しかし今年リリースされた本作は、あまりにも偉大すぎる元の曲をボサノヴァやジャズ、タンゴ調に大胆にアレンジすることでぶれない統一感を持たせることに成功している。音と音の間には質感を持った空気が存在し、シンプルでどこか隙がある、そこが素晴らしい。アンニュイなアコーディオンが主旋律を奏でる「彩りの大地」のアレンジ等かなり成功していると思う。

 このゲーム自体が超名作、かつ音楽の素晴らしさに関してはほぼ伝説レベルとなっているわけだが、中でも人気曲である「滅びし煌めきの都市」が本作にてオンボーカルでオシャレにアレンジされているのには驚いた。
 元々はストーリーの非常に重たい部分で流れている悲しい曲だ。ゲームのせつないストーリーもあって、それはわたし自身の悲しいという感情に直結する音楽だった。それがこんな軽やかでスタイリッシュにされているなんて…。この曲を聴いたときに抱えていた私の悲しみも、一緒にオシャレにアレンジされてしまったような気分になり、胸が少し軽くなったような気がしたのだった。