せいぜいたのしくやろうぜ

書いてる人:二木

30代からはじめる映画鑑賞。感想記事は基本的にネタバレしているのでご了承ください。

『リトル・ミス・サンシャイン』(2006/アメリカ/ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス)

 本当にアホばっかりの家族で、お母さんが必死に繋ぎとめてるからギリギリ家族の形を保っているようなもので、私もここの家の兄貴と同じで「やっぱ家族とか手放しで素晴らしいだなんて言えない、っていうか地獄」という想いに、終始全面的同意せざるをえない作品であった。もう、あのワーゲンのバス、途中からFF6魔列車に見えてきたし。
 でも、こういう不安要素のある家庭で兄弟の仲がいいというのは救いだった。ドウェーン兄ちゃんは自分の繊細な思春期を、おそらくあの家族の歴史の中で一番わけのわからない時代に迎えてしまった。彼が作中で黒歴史を更新し続けているのはそういう理由もあったからだとは思うが、家族にうんざりしつつも父親違いの妹を彼なりにしっかり面倒を看ているところが異様に泣けた。ドウェーンに、幸、あれ……。
 どうしもうもない言い争いをする大人達をよそに、一切空気を読まないで夢に突っ走っていくオリーヴの愛らしさは痛快でした。最後、おじいちゃんがいなくても一人で走ってバスに乗れるようになったオリーヴは、とてもかっこいい女の子だなと思います。全体的にアメリカ版ちびまる子ちゃんって感じだったので、まる子の最終回もこんな感じだったらいいのになと、現在公開中の劇場版CMを見ながらたびたび思うのであった。